マルチパートにしたドラムトラックにそれぞれ違うエフェクトをかけることで、アンコ出し(ステレオのこと)にしたときよりもバスドラ・スネア・ハイハットの輪郭を明確にすることができる。もちろんVELOCITY側の各パッド出力のさじ加減でもできなくはないが…予めオリジナルドラムセットを設定しない限り、あの小さな画面で複数レイヤーを重ねたり、微調整するのはとても面倒でやりにくい。そういう時は、マルチアウトにしてバスドラにEQを施したり、コピートラックにEQしたものを重ねたりした方が作業は格段、楽になる。
まずは、バスドラのトラックを「トラックにバウンス」の処理してオーディオトラックにする。この時バスドラのトラックとMIDIトラックの両方を選択すること。片方だけだと空データが作成されてしまうので注意する。
Project5LEやVstPluginがインストールされていれば選択メニューから好みのエフェクトが使用できる。ここではパラメトリックイコライザーを多用するので、比較的CPU負荷の少ないProject5LEの2バンドパラメトリックイコライザーをVELOCITYに、必要に応じてレイヤートラックにSONARプラグインエフェクトの4バンドパラメトリックイコライザーを使ってキックの輪郭を出している。設定はだいたい下図のような感じでMID-LOWを削って120Hz前後をブースト、レイヤートラックの方は、LOWカットして900Hz周辺を足してアタック音を強調する。 実際はプロジェクト全体を聞きながら各トラックの微調整をして行くことになる。
VELOCITYのスネア音源は、MIDレンジの厚みに物足りなさを感じたので、800Hzと4kHzあたりをブーストして、Delayで短い足を付け、ショット音の広がりを持たせる。ディレイは、CakewalkのTapDelayよりもProject5LEのTempoDelayの方が、すっきりとした音で使いかっても良い気がしたので、下のような設定で使用してみた。
ビートの要となるハイハットの音は、LOWをカットして、8kHz周辺をブーストして、微妙なピッチの揺れをフランジャーでつける。 コーラスやフェイズ・ワウでも構わないが、大抵フランジャーにはレゾナンスパラメーターがあるので、倍音を強調するのに向いている。LFO のアタック・リリースは、割りと短めの方が自然な感じになる。
シンバルとフロアータムを一緒にしたので、ここでは、Cakewalk の4バンドパラメトリックでLOW-HIをEQする。タムの音がベースとかぶらない程度にローをブースト、ライドシンバルは高音のキラリ感が大切なので、6kHz と 11~12kHz 辺りを少し足してやる。
最後にドラムパート全体を聞きながら、ベースとの絡み具合もチェックしつつ、EQの微調整を行う。ついでながらベーストラックのエフェクトは、アンプシュミレーターとコンプをかけるとかなりいい感じの音になる。ちなみに下図はベーストラックのエフェクト処理、エレキベースをイメージした設定なので、あくまで参考程度に…。
以上、リズムトラックのエフェクト処理のみの解説に留め、その他のトラックについては省略した。ギターやシンセ等は、プリセットプログラムやプラグインエフェクトも多く、またインポート素材も豊富にある。また外部エフェクター等も必要に応じて使い分ければより良い効果が得られるので、それほどインサーションエフェクトにこだわることはないと思う。さて全6回に渡って簡単なトラック作成から編集までを解説して来たが、いよいよ次回からトラックビュー画面を使った2トラミックスダウンに進む